メディアとしてのオムライス

私はオムライスが大好きです。ふんわりとした卵の黄色と、鮮やかなケチャップの赤、そして丸みを帯びたフォルムには、 まるで太陽のようなあたたかさとエネルギーが宿っているように感じます。 オムライスは、私にとって安心感や幸福感の象徴であり、どんなに落ち込んでいても、それを見るだけで、 あるいは口にするだけで、心がじんわりとほぐれて前向きな気持ちになれる、そんな特別な存在です。 今回の作品では、そうしたオムライスの持つ「癒し」や「再生」のような力を、“メディウム=素材”として活かしました。 私は「ねむたい」「鬱」「不安」「腹痛」など、心や身体に影を落とすネガティブな言葉を、ケチャップでオムライスの表面に書きました。 それらの言葉は本来、重たく、避けたくなるものです。しかし、オムライスという優しく親しみのある存在の上にそれらの言葉が乗ることで、 どこか可愛らしく、柔らかな印象へと変わって見えてきます。 この作品では、「ネガティブな感情や状態も、見せ方や受け止め方次第で、もっと柔らかく、開かれたものになるのではないか」という問いを込めました。 オムライスはその役割を担う“やさしい舞台”として機能しています。

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